『いわずにおれない』(集英社) – 著者: まど・みちお – 蜂飼 耳による書評

書評総合

『いわずにおれない』(集英社) 著者:まど・みちお
二〇一四年二月に一〇四歳で亡くなってからも、まど・みちおの詩は、生前と同じように大切にされ、愛されている。この本は、九六歳のときにおこなわれたインタビューと、その中に出てくるいくつかの詩、インタビュー当時の新作などから成る。日常の一コマを写した写真や、まど・みちおが描いた絵なども収められている。よく知られている「ぞうさん」について。鼻が長い、とその特徴を指摘された子ゾウは、それを「からかいや悪口」とは受け取らずに、ほめられたと感じる。作者はそう解説する。これは「ゾウに生まれてうれしいゾウの歌」なのだと。作品の背景にある思いは深い。アリやカやタンポポ、星や石、体のあちらこちら。身近なものをじいっと見つめるところから、その詩は生まれる。たとえば、ミミズ。まど・みちおは、どんなふうに眺めるのか。「ミミズの場合、自分が非常にシンプルだから、自分をおらしてくれている地球までが簡単なものだと信じてる……と私には思えたわけです」。ページをめくるたびに、こうした言葉の数々と出会い、うれしくなる。この本を手に取る読者は、コンパクトな文庫本でまど・みちおの言葉と詩に出会えることに魅力を感じるだろうと想像できる。九六歳の人の言葉だ、という点にも興味を抱く人は多いのではないか。人生百年時代などといわれるが、実際には、その前後の年齢まで健康を保って好きなことや仕事を続けられる人はごく一部だからだ。とはいえ、そんな理屈を並べてみても、この本を語ることにはならない。まど・みちおの言葉からにじみ出す優しさやユーモア、それがこの本

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