『山水戀圖』(岩波書店) – 著者: 奥山 民枝 – 南 伸坊による書評

書評総合

『山水戀圖』(岩波書店) 著者:奥山 民枝
「自然にひそむ 濃厚なエロティシズムを、驚くべき想像力で描きだす 地球大の恋物語。魂の秘境にせまる 壮大な絵本だ」と帯文で谷川俊太郎氏がほめている。賛成。これほど過不足なくこの本を表現できる人はいない。なにしろ、一人称の俺は、北の山麓氷河を母にもつ河川系の、一支流である。つまり主人公が「川」だ。で、物語は「川」のひとり語りで進行する。「川」が「山」に恋愛する!話なのだった。まるで「俺が昔、夕焼けだった頃、妹は小焼けだった」みたいな話ではないか。もちろん、そういう話ではない。ところがこれに、おどろくべきディテールを持った、まるで自然を前にするような説得力のある絵が展開すると、まさに、谷川氏のいう「魂の秘境」をかいま見る気がして、次々に頁(ページ)を繰ることになる。文章を味わい、絵を味わうことで、さらにその体験は深まっていくようだ。自然がエロティックである。という言い方が単なるレトリックではないような気がしてくる。自分の中に、表現したいイメージがあって、しかもそれを表現するテクニックを持っている、幸福な画家の仕事である、と私は思う。【初出メディア】朝日新聞 2005年09月18日朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。http://www.asahi.com/
Source: allreeviws

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