『対日協力者の政治構想―日中戦争とその前後―』(名古屋大学出版会) – 著者: 関 智英 – 川島 真による選評

書評総合

『対日協力者の政治構想―日中戦争とその前後―』(名古屋大学出版会) 著者:関 智英
環太平洋地域の政治、経済、文化、科学技術に関する優れた著作に対して与えられる「大平正芳記念賞」。第36回となる今年は、6人の研究者が栄えある賞に輝きました。その中から、関智英『対日協力者の政治構想』の川島真氏による選評を特別に公開いたします。
中国における対日協力者研究の一つの到達点を示した一書
中国における対日協力者研究の一つの到達点を示した一書。日本史、中国史の端境に置かれがちだった空間において、一つの研究分野を打ち立てるとともに、評価が絡みがちなこの問題を歴史学の対象として実証的に論じた意義は大きい。また、日本の中国史学だからこそ到達し得た境地だとも言えるだろう。汪精衛政権や華北政権、または満洲国で日本側に協力した人々、あるいは日中戦争において日本側に協力した人々、すなわち対日協力者たちの歴史は、中国や台湾では長い間タブーであり、日本の戦後史学においても扱うことが難しい対象だった。その難しさは単に学問的な場だけにあるのではなかった。対日協力者たちは、国民党からも、共産党からも漢奸、すなわち民族の裏切り者と見なされ、政治的、社会的に否定的に扱われてきたのである。学校教育においても、彼らは常に非難の対象だった。確かに、前世紀末から中国や台湾でも対日協力政権、対日協力者の研究が比較的活発になったが、中国では習近平政権期に入ってまたこの分野の研究が困難になり、台湾では中国近現代史が低調になる中で、必ずしも大きな研究の進展が見られたわけではない。もちろん、日本語の史料を用いねばならないという障壁も

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