『モノのはじまりを知る事典』(吉川弘文館) – 著者: 木村 茂光,安田 常雄,白川部 達夫,宮瀧 交二 – 本郷 和人による書評

書評総合

『モノのはじまりを知る事典』(吉川弘文館) 著者:木村 茂光,安田 常雄,白川部 達夫,宮瀧 交二
社会の変化とともに生まれ、消えるモノ
室町文化は、それまでの貴族や上流武家が「ハレの日」、すなわち特別な日を意識した文化とは異なり、さまざまな階層の人々の日常の生活に根ざした文化である。だからそれは後世にまで強い影響を与えることができた。私たちが住んでいる家にある畳・床の間・違い棚、それにお茶やお華などの芸事も、室町期に淵源(えんげん)をもつ。……という説明が以前にはよく見られた。だが、それは昭和までの話。現代の1年の変化は明治より前の10年に匹敵するといわれ、世の中は平成、令和と進んで急速に変わってきた。いまは居住環境もがらりと変わったし、花嫁修業などという概念は消滅した。車や時計や万年筆は男の憧れだったが、車は走ればよい、など機能だけを重視され「遊び」が失われた。断捨離なるものがもてはやされ、モノ自体へのこだわりは希薄になった。モノはネット空間に待機していて、必要に応じて現世に召還され、あとかたもなく消費される。昔の人は、モノにはつくも神という神が宿ると考えて大事にしたが、エコな今と「もったいない」の昔は、隔世の感がある。そんな今だからこそ、本書はモノにこだわった。さまざまなモノの淵源を、練達な研究者4人が明らかにしていく。たとえばちゃぶ台。昭和の食卓といえばちゃぶ台だが、それは戦前の大家族制が崩壊して小家族が生活の単位となり、「貧しいながらも楽しいわが家」と一家団欒(だんらん)を現出した立役者であった。でもいまだ父権は不当に強力で、『巨人の星』

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