『古代ローマ名将列伝』(白水社) – 著者: エイドリアン・ゴールズワーシー – 本村 凌二による書評

書評総合

『古代ローマ名将列伝』(白水社) 著者:エイドリアン・ゴールズワーシー
将たるものの資質何を学ぶか
今をときめく『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』の歴史家ユヴァル・ノア・ハラリは、人類はもはや飢饉も疫病も戦争も克服し、今や肥満、老衰、自殺で亡くなる人間の数がはるかに多いと語っている。ところが、今年になって、中国に始原する新型コロナウイルスの感染症はもはや世界中を巻きこむ嵐になり、死者も約八千人にのぼっている。そうなると、われわれは本当に飢饉も戦争も克服したのだろうか、と問いただしたくなる。戦争などあってはならないし、二度の世界大戦の経験は勝利した者たちにも利得などほとんどないことを教えているはずだ。しかしながら、人類の歴史は戦争に彩られていると言ってもいいほどである。だから、それらの戦争の歴史は決してなおざりにされてはならないだろう。本書の著者A・ゴールズワーシーはイギリスの大学で教鞭をとるかたわら、著述業に勤しみ、古代史とローマ軍事史の専門家として知られている。本書では、前三世紀から後六世紀にかけて卓越した十五人のローマの武将をとりあげ、戦役におけるエピソードに焦点を絞り、各人の統率の仕方を見ていく。「軍事作戦の各段階で司令官が何をしたか、それが事の成り行きをどう左右したのか」に力点が置かれている。カルタゴのハンニバル軍をザマの決戦で破ったローマのスキピオには、数年後にハンニバルと会話を交わしたというエピソードがある。誰が古今東西随一の名将と思うか、とスキピオが問うと、一番目がアレクサンドロス大王で、二番目がエペイロス王ピュロスで、三番目が自分自身だとハンニバルは答えたと

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