『松岡洋右と日米開戦: 大衆政治家の功と罪』(吉川弘文館) – 著者: 服部 聡 – 服部 聡による自著解説

書評総合

『松岡洋右と日米開戦: 大衆政治家の功と罪』(吉川弘文館) 著者:服部 聡
松岡洋右の現代的意味
松岡洋右(ようすけ)が活躍した時代と現代との間には、いくつかの類似点を認めることができる。帝国主義にもとづく資源と市場の争奪は、植民地の争奪戦へと発展し、悲惨きわまる第一次大戦の原因となった。それゆえ、第一次大戦後、大戦の再発防止を図るべく国際連盟が創設され、自由貿易体制の確立と国際協調が追求された。すべての国が資源と市場に自由にアクセスできるようになれば、戦争は発生しなくなると考えられたのである。さらに、国際協調の追求と並行して自由主義(民主主義政治と資本主義経済)が世界に浸透し、資本主義経済に基づく世界の一体化、現代でいうグローバリズムがもたらされた。ところが、大恐慌の発生によって一九三〇年代が幕を明けると、風向きは変わった。民主体制の下で民意に突き動かされた各国政府、特に、既得権益として多くの植民地を持つ先発自由主義国の政府は、国際協調よりも自国経済の安定化を優先させ、保護貿易主義を追求するようになったのである。そのような自国第一主義の追求には他国への配慮はなく、保護貿易主義の拡散は、一九二〇年代に追求された国際協調の機運を雲散霧消(うんさんむしょう)させた。大戦での教訓は、あっさりと忘れ去られたのである。その結果、植民地を持たない国々は苦境に陥り、共食(ともぐ)い状態となった国際社会は、大戦の再発を招いてしまう。では、現在の国際社会はどうか。第二次大戦後の国際社会では、第一次大戦後の国際社会と同様に、国際連盟に代わって創設された国際連合の下で、自由貿易体制の確立と国際協調

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