小沢 一郎『語る』(文藝春秋)、野中 広務『私は闘う』(文藝春秋) – 御厨 貴によるコラム

書評総合
閉塞状況反映する政治家本
小沢一郎氏の本と野中広務氏の本が、立て続けにこの時期に刊行された(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1996年)。片や新進にこなた自民、二大政党制を象徴するかのような趣ではないか。実は五五年体制崩壊前後から、読むにたえる現役の政治家の本、やや硬目の政策を議論した本が流行の兆しを見せた。その嚆矢(こうし)が、ご存知小沢一郎氏の「日本改造計画」であった。これは明らかに現実政治に大きな影響を与えた。だがそうそう柳の下にどじょうはおらず、最近はこの手の本もやや息切れの傾向にあった。それ故か、今回はガラリと趣向を変えて「語る」に「私は闘う」。ともに二人の語りを生かした本だ。なるほど今の政治の閉塞状況を、見事なまでに反映した政治家本の登場である。小沢氏は得意のスケールの大きな国家改造構想を縦横無尽に語っているが、野党として構造的に封じこめられている以上、その構想を現実化する手立てがない。その苛立ちは当然のことながら自分の主張をわかってくれないマスコミにむけられる。だから「マスコミは最大の守旧派」と語るわけである。野中氏にとっては、地方議員としての経験を生かし、小さな政治の積み上げこそが大事なのだから、現場の体験一つ一つを語ることに意味を見出す。しかし与党としての青写真は、いっこうに見えてこない。もっとも野中氏もまた自分の主張を理解しないマスコミに苛立ち、「日本には恐ろしい風がある。マスコミもそうだ」と言い切るのである。ともすれば守旧派になびき、さらなる「政治改革」に踏み切らぬ国民に、小沢氏は半ば愛想をつかす。「政治改革」に不純の動機を見出し、これを元

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