『本多猪四郎 無冠の巨匠』(洋泉社) – 著者: 切通 理作 – 柳下 毅一郎による書評

書評総合

『本多猪四郎 無冠の巨匠』(洋泉社) 著者:切通 理作
没後21年、本多猪四郎監督の作品を、その生涯、その思想から読み解く評伝!
作家主義は映画を作り手の個人的・直接的な表現とし、映画監督こそが映画の唯一・真性の作家であると主張する。もちろん、映画は共同作業であり、多くの人が創造性を寄与する。だがそれでもなお、監督のヴィジョンがすべてに貫かれていると考えるのが作家主義である。商業主義と見られ、あるいは職人と思われることが多かった監督を「作家」として称揚し、映画的表現を見出したのが作家主義だったのである。たとえば円谷英二という特撮の神がいなければ『ゴジラ』にはじまる東宝特撮シリーズは決して成立しなかったろう。あるいはその最大の功績はプロデューサーとして東宝の娯楽大作を統括した田中友幸に帰すべきだとする説もある。いや、実際現在までほぼそれが通説だったのかもしれない。だが、もしも作家主義がここにも適用されるなら、『ゴジラ』の作者は1人しかありえない。それは本多猪四郎、しばしば職人と切り捨てられる映画監督である。切通理作の『本多猪四郎 無冠の巨匠』は長らく待たれていた本多猪四郎の評伝である。本多こそが『ゴジラ』をはじめとする東宝特撮の真の作者であるとし、その作品を彼の生涯、その思想から読み解く本だ。これは刺激的で、多くを与えてくれる本である。「ゴジラ」シリーズにわずかでも興味のある人、日本SFが好きな人は必読だ。本書はまず、怪獣映画がいかなる存在なのか、怪獣映画において怪獣はいかに撮られているかを検証する。怪獣の登場場面を撮っていたのは特技監督の円谷英二なのだから、怪獣を演出している

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