読み方を学び、文学と出会いなおす『クリティカル・ワード 文学理論』

書評総合
「文学」に興味がある人に、強くお薦めする。『クリティカル・ワード 文学理論』は2部構成となっており、どちらから読んでも得るもの大。一つは、「基礎講義編」、現代文学の第一人者の小論を、腰据えて読む。テーマは「読む」「言葉」「欲望」「世界」とあり、文学を理論的に思索するとはどういうことか、という問いに対し、この小論そのものが実践的な解になる(この手法は身につけたい)。もう一つは、「トピック編」、パラパラ眺め、目を引いたキーワードを拾い読む。すると、自分の興味のすぐ隣に、さらに面白い議論があることが分かる。「ジェンダー」や「ポストヒューマン」といった分野ごとに、見取り図が提示され、それぞれの主張を支える構造が確認できる。どちらからでもいいが、基礎編で手法を学び、トピック編で応用されている議論を俯瞰すると入りやすいかも。この、基礎→応用で、最もわたしの興味を貫いたのは、エドワード・サイードになる。対位法的読解基礎講義編では、様々な読み方が紹介されている。自分でも色々な読み方ができると思っていたが、テクスト論や徴候的読解、言語の脱領土化など、新しい&強力な読み方を知ったのが収穫だ。なかでも、サイードの「対位法的読解」が目を引く。これは、音楽の対位法から着想を得たスタイルで、主著『オリエンタリズム』や『文化と帝国主義』において実践した、斬新な読みになる。前提として、テクストは、かならず多声的(ポリフォニー)だという。そのため、「作者の意図」や、「〇〇イズム」といった単一の意味に収斂するような単声的読解を退ける。その一方で、それぞれの声がバラバラの「なんでもあり」とはならず、ゆるやかな関係性

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