『カモメに飛ぶことを教えた猫』(白水社) – 著者: ルイス・セプルベダ – 河野 万里子による後書き

書評総合

『カモメに飛ぶことを教えた猫』(白水社) 著者:ルイス・セプルベダ
軍事政権の圧政に祖国チリを追われ、ヨーロッパで活躍した作家ルイス・セプルベダは、2020年4月、新型コロナ感染による肺炎によりスペインで亡くなりました。日本では1998年に紹介された本書は、20年以上のロングセラーとなって読みつがれ、2019年には劇団四季によってミュージカルにもなりました。今こそ世界中に届けたい本書に込められたメッセージを、訳者の河野万里子さんによるあとがきからお伝えします。
猫とカモメ、種の違いを超えた友情――新型コロナ肺炎で急逝した亡命作家が、分断の時代に遺した名作
猫ってほんとうは、何でもわかっているんじゃないか、と思うことがある。たとえ家に飼っていなくても、道ばたなどで、ふと目が合ってしまってどっきりさせられるようなことは、わりに誰にでもあるんじゃないだろうか。たとえば、急ぎ足で通る朝の道に必ずいて、「まったく今日もごくろうさんなことで」と言わんばかりに、ちらっとこちらを見るやせた猫。自分が美しいと知っているのか、見つめると見つめ返してくる、片方の目は青、もう片方は緑で、毛並みは真っ白な猫。ある日の夕方、ちょっとミルクをあげて遊んであげたら、以来マンションの同じようないくつものドアを確実に見分け、夕方になると決まってうちに遊びにくるようになった子猫——。そう、猫たちは、じつは、何でもわかっているのだ。人間のことばだって、わかっているどころか、ほんとうはあの小さな舌で、しゃべることさえできるのだ!それを私たちが聞いたことがないのは、猫たちの間に、決して人間の前で

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