『ロミー・シュナイダー事件』(集英社) – 著者: ミヒャエル ユルクス – 森 まゆみによる書評

書評総合

『ロミー・シュナイダー事件』(集英社) 著者:ミヒャエル ユルクス
ある女優の死
ロミー・シュナイダーは魅惑的だった。「夕なぎ」「離愁」「ルートヴィヒ」……凛として気品高く、虚飾のない自由な女。四十二歳の突然の死からもう十五年もたつのか、と感慨深い(ALLREVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1996年頃)。『ロミー・シュナイダー事件』(ミヒャエル・ユルクス著、平野卿子訳、集英社)はドイツでベストセラーになったロミーの伝記である。なぜ「事件」と銘うったのか。すなわちロミーの死がどうも自然死とはいいにくいからである。他殺ではない。自殺でもない。しかし読んでいるとその両方ではなかったかと思う。他者からの脅迫、恐喝と内部からの精神の崩壊と。それを描くため著者は、アンナというジャーナリストを設定、彼女が「ロミー・シュナイダー事件」の連載をある雑誌に書く、というフィクションの部分を一章おきに挿入する。ノンフィクションの伝記部分は、雑誌「シュテルン」の編集長だった著者が綿密なデータを駆使して正確に書いているが、それはアンナが書いた記事とも読め、一方、仮定や推理はフィクションの章で自由に羽ばたかせられる。この手法はかなりアクロバティックだが、本書の場合、必然的であり、成功しているといえよう。すなわちロミーを「間接的に殺した」連中は生存していて、何ら刑事罰を適用されていないからである。著者ユルクスはジャーナリズムによって彼らを社会的に断罪しようとした。ロミーは女優としては「このうえなく成功」したけれど、「私生活はまったくダメな人」だった。生みの父親には捨てられ、

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