『不戦条約: 戦後日本の原点』(東京大学出版会) – 著者: 牧野 雅彦 – 牧野 雅彦による自著解説

書評総合

『不戦条約: 戦後日本の原点』(東京大学出版会) 著者:牧野 雅彦
「国策手段としての戦争を放棄する」――1928年、世界史上はじめて国家間の戦争が否定された。論争の絶えない「戦争放棄」問題に歴史的側面から迫った注目の書、『不戦条約』。その著者、牧野雅彦広島大学教授によるエッセイを特別公開します。
 戦後日本の原点としての不戦条約とは?
二月に刊行された『不戦条約』の副題「戦後日本の原点」は、出版社の要請で宣伝のためにつけたものではない。 不戦条約締結時に日本が置かれた国際環境に、象徴天皇制と憲法第九条の戦争放棄を軸とする戦後日本の政治体制の前提となる一連の諸問題がほぼ出そろっているからである。 1 今日の憲法改正論議の焦点となっている自衛権をめぐる問題は、国際連盟の集団安全保障の原則をめぐるアメリカ合衆国とフランスの対立のうちにその原型が出されていた。日本国憲法第九条の思想的源泉としてしばしば引き合いに出されるサーモン・O・レヴィンソンの「戦争違法化」論の果たした役割も、アメリカ・フランス両国の外交的駆け引きと、そこに示されている国際紛争の解決方法に対する両国のアプローチの相違を背景にすることによって明確なものとなる。2 第二次大戦後に国際連合を主導することを求められた時に、アメリカは不戦条約締結当時に拒否していた集団安全保障の原則の受容の方向に一歩踏み出すことになった。そこで行われた決断の意味、国際紛争の平和的解決のための機構としての国際連盟と国際連合の相違も、両大戦間のアメリカの立場を踏まえてはじめて理解することができる。アメリカの占領下におかれた日

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