『自我の源泉―近代的アイデンティティの形成―』(名古屋大学出版会) – 著者: チャールズ・テイラー – 中野 剛充による書評

書評総合

『自我の源泉―近代的アイデンティティの形成―』(名古屋大学出版会) 著者:チャールズ・テイラー
2020年6月、チャールズ・テイラー畢生の大著『世俗の時代(A Secular Age)』の翻訳がついに出版されました。『自我の源泉』から『世俗の時代』まで、この二つの巨大な著作を中心にしてテイラーはどのような問題に取り組んできたのでしょうか。今回は、力作『テイラーのコミュニタリアニズム』でも知られる、中野剛充さんによる書評をご紹介します。
フーコー、ハーバーマスらと並ぶ知の巨人テイラーの哲学的考察
近年(二〇一二年現在)、ユルゲン・ハーバーマスと並んで、第二次大戦後世代のいわば「最後の巨人」の一人として西洋の哲学界でますます注目を集めているチャールズ・テイラーの後期の二大大作、『自我の源泉――近代的アイデンティティの形成』(原著は一九八九年出版)と、その続編にあたる『世俗の時代』(原著は二〇〇七年出版、未邦訳[※邦訳は二〇二〇年出版])のいわばイントロダクションともいうべき『近代――想像された社会の系譜』が本邦で続いて翻訳・出版された。この二つの文字通り巨大な著作――その圧倒的な情報量のみならず、その扱うテーマがあまりにも巨大である――を、文字数の限定された書評で「要約」することは評者の手に余るものであることはいうまでもないが、本書評ではとりあえず、まず、『自我の源泉』の二つのポイントについて概説し、そこから、『近代』をへて、『世俗の時代』に至る道程を、ごく簡潔に素描し、最後に、それについて私なりの考察を少し述べてみたい。とはいえ、この二つの著作の最も中心的なテーマは、極めてシン

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