『ロボットからの倫理学入門』(名古屋大学出版会) – 著者: 久木田 水生,神崎 宣次,佐々木 拓 – 草野 原々による書評

書評総合

『ロボットからの倫理学入門』(名古屋大学出版会) 著者:久木田 水生,神崎 宣次,佐々木 拓
ロボットにおける倫理的問題と、思考実験の実践例としてのSF
本書は、人間の新たな隣人であるロボットをテーマにして、倫理学における議論を紹介したものである。タイトルに「入門」と書かれているように、ロボット倫理学の現状を紹介するだけでなく、倫理学の主な議論を学ぶことができるという贅沢な作りになっている。ここでは、全体の構成を簡単にまとめた上で、第五章についての異論を展開する。そして、最後にSF作家として本書に関係するSF作品の紹介を行う。第一章~第四章は理論編である。第一章ではロボットが道徳的な行動をするためには、規則に従うだけではなく行為者でなければならないという前提を確認する。第二章ではロボットが従うべき規範について探求するため、功利主義、義務論、徳倫理という三つの代表的な規範倫理学の学説を見ていく。第三章ではロボットが責任のある行為者になれるかどうかということを論じ、究極的コントロールは不可能だとしても道徳的実践の上で責任性を幻想として要請する幻想主義に可能性を見出す。第四章ではロボットが道徳的被行為者になれるかどうかが論じられる。環境倫理学や動物倫理学において道徳的被行為者が人間に限定されていないことを示した上で、そのような議論は道徳的被行為者の範囲を拡大しなければならないような問題が発生したことにより生じたとする。現在、ロボットにおいてはそのような問題は生じていないが、道徳的被行為者として扱わなければいけないようなロボットがいつの日か作られるかもしれない。第五章~第八章は実践編

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