「ポオ全集 1」より(4)

小説の書評と感想
 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社・版)第1巻より、4回めの紹介をする。 同(3)は、先の5月27日の記事にアップした。
 今回は、「穽と振子」「細長い箱」「タア博士とフェザア教授の治療法」、3編を読んだ。 「穽と振子」は、宗教裁判で残酷に殺されようとする「私」が、次第に降りて来る振子の刃の下で台に固定される刑から逃れ、次第に狭まる菱形の焼けた鉄板からも、敵軍の侵攻によって救われる、空想的な話である。 「細長い箱」は、誠実なワイヤットが妻に急死され、郵船でニューヨークへ運ぶべく、木の箱に入れて乗せ、難破した郵船と共に(脱出の機会がありながら)沈む話である。大事にする木の箱の中身への関心で、読者を引っ張る。 「タア博士とフェザア教授の治療法」は、精神病院の患者たちが看護師らを監房に押し込め、奇妙な盛宴を催す話である。 ポオの生活困窮、アルコール依存による混乱か、悪い冗談のような内容になって行くのが惜しい。 記憶の「穽と振子」では恐怖を感じたのに、今回は感じなかったのは、僕の感性・想像力の衰えか。翻訳が悪いのではないだろう。写真ACより、「棺」のイラスト1枚。

Source: 小説

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