『ロンドン―地主と都市デザイン』(筑摩書房) – 著者: 鈴木 博之 – 藤森 照信による書評

書評総合

『ロンドン―地主と都市デザイン』(筑摩書房) 著者:鈴木 博之
二歩も三歩も踏み込んだ都市入門書
やっと出た。東京、ロンドン、パリ、とか三都を並べるけれど、実は私たちはこれまで東京以外については何も知らないに等しかった。理由は簡単で、ロンドンをはじめとする欧米の主要都市についての具体的にして正確にして読みやすい入門書をこれまで持ち合わせなかったからだ。ナアニそんなもんなくったって歩けば分かる、と考える読者もいるだろうが、もちろん現象についてはそれでいい。しかし、たとえばなんである場所にそんな大聖堂が立っているのか、と一歩踏み込んだ理解をしようと思ったとたん、その都市についてのきちんとした入門書が欲しくなる。これまで、ロンドンもパリもローマもベニスも、そう銘打った本は出されているが、例外なく歴史と地理と文化をパッチワーク状に貼り合わせたものか、観光ガイドブックで、パッチワークはその都市を歩くためには何の役にも立たないし、ガイドブックは歩くためにしか役に立たない。降り立つ前に読んでその都市のおおまかな姿形を知り、帰ってきてから読んでナルホドそういうことだったのか、と膝を打つような本を長年求めてきたが、このたびやっとロンドンについて入手できた(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1996年)。たとえば市中でしばしば見かける謎の小公園について。ロンドンの中心部からちょっと脇に入ると、赤煉瓦の四、五階建ての集合住宅がビッシリ軒を連ねる静かな住宅地が現われ、ところどころくり抜いたように四角な広場(スクェアと言う)が広がり、中央にはきまって緑したたる公園が設けられているのだが、

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