『ギッちょん』(山下澄人)_書評という名の読書感想文

小説の書評と感想
『ギッちょん』山下 澄人 文春文庫 2017年4月10日第一刷
ギッちょん (文春文庫)
四十歳を過ぎた「わたし」の目の前を去来する、幼なじみの「ギッちょん」の姿 - 子供みたいにさみしく、無垢な文章。そこには別の時間が流れ、ページを繰るたびに新たな世界が立ち上がる - 鮮烈なスタイルで現れた芥川賞作家・山下澄人の、芥川賞候補作「ギッちょん」「コルバトントリ」を含む初期傑作集。◎解説・小川洋子(文春文庫)
※太字の部分は全て、解説にある小川洋子さんの文章からの引用です。
『ギッちょん』を読めば、一応、一人の男の人生が浮かび上がってくる。父に生活力はなく、三面鏡は割れ、母は妹を連れて家を出て行く。喘息持ちのわたしはギッちょんと一緒に川にはまり、子猫と戯れ、パトカーを海に転落させる。
暴力沙汰を起こし、仕事を転々とし、ふと気づくとギッちょんは姿を消しており、女とアメリカへ渡るも裏切られ、ホームレスにもなり、やがて末期がんに倒れる。
そう。それはその通りに違いないのですが、どうも、それが言いたくて書いた小説ではないような感じがします。そんなこととは別に、もっと違う世界のことが書いてあるのではないかと。
言葉と言葉の間にこそ存在し、説明するのがとても難しい何かを言おうとして仕方なく書いた話ではないかと思います。
実に「芥川賞」らしい小説ではあります。「子供みたいにさみしく、無垢な文章」は、ときに時空をシャッフルし、ついでのようにして別の何かを言い添えたりします。読みやすいかといえばそうともいえず、ずいぶんと好き嫌いがあるのではないかと思います。
おそらくは、「読む」というより、「感じ

リンク元

コメント

タイトルとURLをコピーしました