『砂と人類: いかにして砂が文明を変容させたか』(草思社) – 著者: ヴィンス・バイザー – 藤崎 百合による後書き

書評総合

『砂と人類: いかにして砂が文明を変容させたか』(草思社) 著者:ヴィンス・バイザー
現代文明を支えている最も重要な個体は何か、考えてみたことはあるでしょうか。コンクリート、ガラス、シリコンチップ、シェールオイル……これらの現代を支える物質のいずれにも、「砂」が必要不可欠なのです。本書は、砂なくしてはありえなかった現代文明の発展の歴史を紐解きながら、砂と人間の関わりを描く現代文明論です。今回は、訳者によるあとがきを掲載いたします。 
砂とともにある風景
田畑が広がるのどかな風景のなか、白い岩肌が顔をのぞかせる緑豊かな山のふもとに、軒を連ねる白い工場の数々。それが私の原風景です。私の実家の家業は石灰工場で、子どもの頃から石灰にまみれて走り回り、危ないと言われながらもこっそり山の石切り場で遊んでいました。石灰は砂ではありませんが、砂から見える世界に近い風景を、私は石灰を通して見てきました。石灰とは、石灰石を焼成・加工してつくられる細かい粉状の物質で、本書にも登場するとおりセメントの原料です。そのため、近所に生コンクリートの会社もあって、細い道路をミキサー車やトラックが行き交っていました。石灰の利用法もまた、多岐にわたります。小学生の頃からお馴染みのチョークや白線引き、しっくいや肥料に乾燥剤など、他にも用途はさまざまです。映画好きの父のお気に入りの作品がチャップリンの『ライムライト』。無口な父が、ライムは英語で石灰という意味で、石灰を使った照明をライムライトというのだと嬉しそうに教えてくれました。また、こんにゃくを手作りしていた料理好きの母から

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