「ダンス・オブ・ヴァンパイア」

小説の書評と感想
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●2019年11月18日

ミュージカル「ダンス・オブ・ヴァンパイア」(帝劇)
帝劇で4年ぶりの「ダンス・オブ・ヴァンパイア」を観ました。
初演の頃、この舞台のどこがそんなに面白いのかわかりませんでしたが、何度も観ていると、狂騒的な舞台の裏に、意外と奥深い世界が見えてくるようです。
まずキリスト教的な側面。「神は死んだ」と口にするクロロック伯爵は、自らのもとに集まった者たちに「永遠の命」を約束します。キリスト教でいう永遠の命と言葉は同じでも意味は逆、滅びない肉体を意味します。その結果、精神は滅びて欲望だけにとらわれたヴァンパイアができあがる、という構図。
で、滅びない肉体を得た彼らは幸せかというとそうではなく、クロロック伯爵は「永遠に充たされない苦悩しかない」、ヴァンパイアたちも「死にたくなるほど退屈」と歌います。
キリスト教の救済と程遠いありさまが描かれます。
ほかにも光と闇、理性と欲望、ルールと自由、善なるものと悪なるもの。キリスト教的二元論を思わせる物語世界が展開していきます。
さらに今日的テーマとして描かれるのは、現代社会へのアンチテーゼともいうべきもの。
ヴァンパイアたちは「モラルもルールもまっぴら」と繰り返しますが、キリスト教的モラルやルールを飛び超えて、抑圧ががんじがらめに人間を圧迫してくる現代。舞台を見ている間の、つかの間の精神の解放をこの舞台は約束しているのだと思います。
サラ役は神田沙也加、よく合っていると思います。アルフ役は初見の東啓介。背丈がとても高いので、教授役の石川禅にネタにされてたりして。これまでのアルフ以上に木偶の坊感、役立たず感が出ていてよかったです。
ヘルベルトは植原卓也。この人の人間でない感じ、違和感は素晴らしく、単に笑わせる役という以上の深みがありました。
今回初役だと思いますが、大塚千弘のマグダがこれまでにない突き抜けた役作りで、カッコいいと思いました。
宿屋のセットが一つ上の階までできて、人物の動きを横から見られるようになり、これがとてもいいと思いました。また、壁に小窓がつけられ、サラがそこから外を眺めるシーンはぞっとするような美しさがありました。
最後にクロロック伯爵役、山口祐一郎さん。歌い方は以前と随分変わりましたが、歌い上げるところはさすがの山口さんなのでした。
何よりこの芝居、この方の存在感によって成立している舞台という感を強く持ちました。


Source: New feed

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